イギリスが子どもの肥満対策

イギリスの子どもの約 3 人に 1 人が肥満とされる状況に対処するため、政府は 2016 年 8月 18 日、包括的な肥満対策をまとめた「子どもの肥満に対する行動計画」を公表しました。我が国は、英国ほど肥満率は高くないものの、依然、世界的に見れば肥満児の多い国とであり、他人事では済まされません。子供たちが好きなファーストフードやジュース、ドリンク、ケーキ、菓子類には糖質が多く、塾通いで運動不足になりがちなことから、肥満児になりやすい環境であると言えます。

  1. 深刻な子どもの肥満

    イギリスは子どもの肥満率が世界的にも高く、 OECD の調査によると 11~15 歳の子どもの約 3 人 に 1 人が肥満又は肥満傾向にあります。ちなみに、米国も3人に1人、OECD平均で4人に1人、日本は5人に1人となっています。肥満児 の多くは成人してからも肥満・肥満傾向にあるため、生産力の低下や長期的な医療費の圧迫につながるとされています。英国公衆衛生庁 (PHE)が 2015 年 10 月に 公開した報告書によると、肥満に関連した医療費は年間 51 億ポンド(約7500億円)と試算されています。 こうした状況を重く見た政府は、2016 年 8 月 18 日、包括的な肥満対策をまとめた「子どもの肥満に対する行動計画」を公表しました。今後 10 年間に 2~15 歳までの子どもの肥満率低下を目指す内容となっています。

  2. 「子どもの肥満に対する行動計画」の内容

    (1) ソフトドリンクへの課税
    筆頭に挙げられているのが、炭酸飲料などの砂糖を多く含むソフトドリンクへの課税です。ソフトドリンクの摂取量は、欧州諸国の中でもイギリスの子どもがとりわけ多く、肥満の主な要因の一つとなっています。例えば、ソフトドリンク 1 本 330ml に含まれる砂糖は 35g であり、これは 1 日の許容摂取量(成人であれば 25g)を軽く超えています。 課税の詳細は2017年予算法で決定されます。

    (2) 2020 年までに食品の砂糖含有量を20%削減
    削減目標数値は、2020年までに子どもの砂糖摂取量を対 2015 年比で20%減としています。1 年 5%ずつ段階的に引き下げていく方針で、外食産業を含む全ての食品産業が対象となります。まず対象となるのは、朝食や間食で摂取されることの多いシリアル、ヨーグルト、ビスケット、ケーキ、菓子類、ペストリー、菓子パン、プリン、アイスクリーム、パンなどに塗るジャム類の 9 品目で、2017 年 3 月に削減目標数値が公表されます。

    (3) 学校での取組
    学校での取組については、学校給食の改善、運動推奨、肥満防止活動の評価の3 点が挙げられています。第一に、学校給食は、砂糖や栄養の摂取量について改定を行うとしています。また、朝食クラブと呼ばれる、学校始業前に子どもたちを集めて朝食をとらせることを計画しています。 第二に運動推奨に関しては、学校で 30 分、家庭で 30 分、計 60 分の運動時間を毎日確保するよう提言しています。また、自転車・徒歩通学の奨励を目的として、子ども向けの自転車教習プログラム等への3 億ポンドの投資計画を今後進めるとしています。 第三に 2017 年 9 月から、初等学校において肥満対策に関する学校の自主的な評価制度を導入するとしています。この自主評価制度には保護者も加わらせることを想定しています。


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