ぜんそくや花粉症などアレルギー疾患の患者が急増するなか、厚生労働省は、地域ごとに専門的な治療を行う拠点病院の整備や、患者の相談支援にあたる体制の充実などを盛り込んだ、アレルギー対策の基本方針を始めて取りまとめました(平成28年12月2日)。 アレルギー疾患はこの10年ほどで急増し、厚生労働省によると、国民の2人に1人がかかっていると推計されています。
このため、厚生労働省は、ぜんそく、アトピー性皮膚炎、花粉症、鼻炎、食物アレルギー、結膜炎の6つのアレルギー疾患について、対策の基本方針を初めて取りまとめました。
アレルギー疾患の現状は“2人に1人”
厚生労働省が平成17年度にまとめた報告書では「全人口の3人に1人が何らかのアレルギー疾患を持っていると考えられる」と指摘していましたが、その後、患者が急増し、平成23年度の報告書では「全人口の2人に1人」と推計を見直しました。
このうち、ぜんそくは800万人と推定しています。花粉症を含むアレルギー性鼻炎は、全国民の49%以上が患っていて、今後も増えると予想されています。
アトピー性皮膚炎は国民のおよそ10%が発症しているほか、食物アレルギーについては、0歳児全体の最大で10%が何らかの食べ物アレルギーがあると指摘しています。
アレルギーの原因と対応
ここ10年から20年の間にアレルギー性疾患の患者が増えた原因は、遺伝性、食生活、生活習慣の乱れ、生活環境の変化、ストレス、など発症の原因は多岐にわたっています。 アレルギー疾患になれば専門医師の診断が必要ですが、家庭でもできる予防方法について、いくつかご紹介します。
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栄養バランスの良い食生活
近年の日本では、食の欧米化が進んでいます。そのため、カロリーが高く脂質の多い食事をする人が多くなっています。その上、野菜を摂取する機会が減っているため、栄養バランスが偏りがちになります。その結果、アレルギー体質になってしまう人が多いといわれています。他にも、忙しくて満足に食事をとっていなかったり、ダイエットで断食していたりすることも、アレルギー体質につながるキッカケとなっています。
できるだけ偏った食事を避け、カロリーが低く、栄養バランスが取れている和食を取り入れることがおすすめです。 - 生活習慣の見直し
ついつい夜更かしして寝不足ぎみになっていたり、運動不足になっていたりしませんか? 最近の国民栄養調査によると、ビジネスマンの寝不足の原因は寝る前のスマホであったり、若い女性は運動不足ぎみであることが報告されています。このように、生活習慣が乱れることもアレルギー体質を作り出すキッカケになるので注意が必要です。生活習慣を見直して、体内の抵抗力を高めていきましょう。 - 腸内環境を改善させる
腸内フローラを活性化させることによって免疫力を高めることができます。腸内の善玉菌よりも悪玉菌が増えてくると腸内フローラが乱れて免疫力が低下し、アレルギー体質になるケースが考えられます。善玉菌が好物の水溶性食物繊維や善玉菌が豊富に含まれる発酵食品を積極的に摂取することがおすすめです。
また、アレルギー症状に悩まされている人のうち8割以上が、便秘にも悩まされていると言われています。便秘になると、腸内に便が長時間とどまることになり、その便はどんどん腐敗していくわけです。その結果、有毒なガスが発生し、血管をめぐって全身に行き渡ってしまいます。この有毒なガスが原因となり、肌荒れを起こし、アトピー性皮膚炎につながることもあるといわれています。食物繊維は便秘を解消してくれます。 - 亜鉛を積極的に補う
アレルギー体質に悩まされている人の多くは亜鉛不足に陥っています。亜鉛は活性酸素を除去する働きの他に、炎症反応を抑制したり細胞の再生を助けたりと、様々な働きを持っています。亜鉛が不足すると、これらの働きが正常に行われなくなるため、炎症を起こしやすく、粘膜の細胞も壊れやすくなってしまいます。その結果、アレルギー体質となり様々なアレルギー症状を発症しやすくなります。 食材の牡蠣や牛肉などには亜鉛が豊富に含まれていますので、食べ過ぎずに注意して、適量摂取することがおすすめです。 - 適度な運動
免疫機能が異物と判断して敏感に反応してしまうアレルギー物質が体内に残っている間はアレルギー症状に悩まされます。そこで、適度な運動をすることによって汗を流して体をデトックスしてあげましょう。こうすれば、アレルギー物質が汗によって流れていくため、アレルギー症状を早く緩和できます。
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