疲れた時に甘いものを食べると元気が湧いてくるのは、糖分に含まれるブドウ糖がエネルギーの源になっているからであり、それだけでなく、ブドウ糖は脳の働きに欠かせない成分です。 しかし、どんな食品にもいえるように、摂りすぎは体に良くありません。
甘いものと健康について、最近は砂糖の危険性が伝えられることが多く、強烈な依存性がある砂糖は、過剰摂取によって動脈硬化や高血圧、高脂血症などを引き起こす危険があり、さまざまな感染症や花粉症などのアレルギーにも関連性があるといわれています。
しかし、高カロリーな砂糖がたっぷり入った飲料などを避け、人工甘味料入りのものを飲み干す、そして「砂糖よりは安全」「カロリーオフだから安心」などと考えるのは、正しいのでしょうか。
天然の甘いものには体に必要な栄養素がいっぱい
人間の体は、甘い食べ物に魅力を感じるようにつくられていますが、それには意味があります。自然界に存在するもので、私たちが『甘い』と感じることができる食べ物は、私たちの体が必要としている栄養素をふんだんに含んでいるからです。
熟した果物には甘味があります。『甘いものを食べたい』と思ったら、果物を食べればいい。それは、ビタミンCを直接的に補うことになります。つまり、私たちの『甘いものが食べたい』という欲求の背後には、『ビタミンCが不足している』というサインが隠されているのです。
その証拠に、『甘いものを食べたい』と思っている時に果物を食べると、その欲求が嘘のように消え去ることがあります。しかし、人工甘味料そのものや人工甘味料入りの飲料からは、ビタミンCの摂取は期待できません。
たとえ入っていたとしても、そのビタミンCも人工合成されたものであり、私たちの体が欲している自然のビタミンCとは、化学記号は同じでも似て非なるものです。
妊婦が人工甘味料を摂取すると。。。
人工甘味料が入った飲料を妊婦が摂取すると、生まれる子供が肥満になる恐れがある――。
そんな調査結果が、5月9日に発表されました。カナダ・マニトバ大学のメーガン・アザド氏らの研究グループは、3000人以上の母親が記録した食生活習慣のデータを分析し、さらに生まれた子供の1歳時のBMI(体格指数)を測定したという。
その結果、人工甘味料入り飲料を日常的に摂取していると、それらをまったく飲まなかった場合に比べて、子供が1歳時に過体重になるリスクが2倍になるという関連性が認められました。
この研究結果は、米国医師会(AMA)が発行する医学誌「JAMA小児科学(JAMA Pediatrics)」に掲載されています。
人工甘味料は体重増加を招くおそれ?
ミバエとマウスを使った研究をシドニー大学が医学誌「セル・メタボリズム」に発表した内容によると、人工甘味料スクラロースをミバエやマウスに一定期間与えた後に砂糖を与えると、天然甘味料を与えられたミバエやマウスより、30%も多く砂糖を食べました。これは、脳がカロリーのない甘さを確認すると(天然のものだと甘いものはカロリーも高い)、機能がやや狂い、それに合わせて再調整を行い、総カロリーが増えたと考えられます。
この研究はミバエとマウスで行われましたが、同じことが人間に起こらないとは限りません。 スクラロース以外の人工甘味料に当てはまるのかどうか、まだ、はっきりしませんが、味とエネルギー量には密接な関係があり、そのバランスが崩れると脳内に何らかの問題が生じることは理にかなっていると考えられます。
人工甘味料の危険性
人工甘味料には、サッカリン、チクロ、アスパルテーム、スクラロース、アセスルファムカリウムなどがあります。
コールタールの研究中に偶然合成されたサッカリンは、発がん性があるということから、一時期は使用禁止となっていたのですが、現在はまた使用が認められています。チクロは、発がん性や催奇形性が指摘されて使用禁止になっています。
アスパルテームは、体内で分解される時に構成成分のひとつであるメタノールを分離します。それが吸収されてしまうわけですが、メタノールは劇物指定されているもので、誤って飲んだ場合は失明することもあり、摂取量によっては死に至ることもあり得ます。アスパルテームは、脳腫瘍や白血病などのがんとの関連性も強く疑われています。
スクラロースとアセスルファムカリウムは、体内では分解することができませんが、分子が細かいため、そのまま吸収されてしまいます。体内に入ると異物として血液中をめぐり、最終的には肝臓や腎臓に多大なダメージを与えて、免疫力を低下させてしまいます。
特に、アセスルファムカリウムを使って行われたラットの実験では、妊娠しているラットから胎児への移行が認められているのです。同じことが人間で起きないとは、断言できないでしょう。
「低カロリー」「カロリーゼロ」に潜む罠
身近な飲料の中に、 『低カロリー』『ゼロカロリー』だから砂糖よりは安全、カロリーオフだから安心と、うたう飲料などに目がいってしまいます。
これまで述べてきたように、人工甘味料はできれば避けたい成分であることがわかっていただけたと思います。人工甘味料が添加物として使用が認められているものも、いつ危険性が発覚して使用禁止になるかわかりません。それらを摂取しなかったとしても、私たちが困ることはないはずです。
人工甘味料が多く含まれているものとして、缶コーヒー、コーラや炭酸ドリンクなどの清涼飲料水、スポーツドリンク、ノンアルコールビールの他に、ノンカロリーやカロリーオフなどと表示されている飲料には、人工甘味料が使われていると思ったほうがいい。
30~40代のビジネスパーソンにとっては、ごく身近な飲料に多くの人工甘味料が入っているということになるが、摂取し続けると体を蝕んでいくおそれもあるだけに、普段の生活からは遠ざけたほうが賢明なようだ。
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