2020年東京オリンピックに向け、各競技場の選定、予算や運営について、今、話題騒然ですが、その裏ではアスリートや関係者に提供される食事について注目されています。東京オリンピックでは提供される食材はオーガニックでなければならないとされています。
ロンドンやリオのオリンピックでもオーガニック食材
2020年東京オリンピックに向け、化学肥料や農薬を使わない有機(オーガニック)農産物の増産機運が高まっています。12年のロンドンや今年のリオでは選手村や競技場の食材基準に有機食材の優先調達が盛り込まれ、東京も踏襲される可能性が高いためです。 JAS法に基づく有機JAS規格で「有機農産物」の表示が認められるには、3年以上農薬や化学肥料を使っていない土壌で栽培することが条件ですが、オリンピックまで4年足らずと余裕はありません。
基本計画は「環境に優しく」
ロンドン五輪組織委員会は五輪やパラリンピックの選手村や運営スタッフに出す食事を 1400万食と見積もっています。リオも同じです。ロンドンは「五輪は高品質で多様な地域食を提供する機会」としてオーガニックの優先調達や原則国産を基礎に盛り込んでいます。リオもオーガニックを基準に入れ、旬の食材を提供するため地元からの調達を優先するとしています。
日本オリンピック協会によると、五輪開催に伴う開発が環境団体に批判されたことを受けて1990年代から積極的に環境保全を掲げ、96年には五輪憲章に持続可能性を追求するとして食材基準もこの理念に沿っているという。 東京も開催基本計画に「持続可能で環境に優しい食材を使用する」と明記しています。調達基準については農水省産業環境対策課の前田課長は「オーガニックが入る可能性は極めて高いと考え、省内で議論を進めている」と話す。
栽培地わずか、販路拡大が鍵
だが、日本の有機農産物の生産規模は海外と比べて極めて小さい。有機栽培面積は全農産物栽培面積の0.27%の1万ヘクタール、英国の50分の1、ブラジルの70分の1しかない。
環境に優しく、安全な食材を求める消費者にこたえるため、06年に「有機農業推進法」が成立したが、近年の有機栽培面積は伸び悩みです。
そのうえ、五輪が開催される夏場は葉物野菜の生産が少ないので供給量確保の為に対応が
検討されています。
委員としてメンバー入りを予定する法政大学大学院の小川教授によると、「有機農家は特定の消費者に生産する小規模経営者が多く、販路が確立していないことが普及を阻んでいる」という。小川教授は「このままでは、五輪で国産の有機食材をほとんど供給できず、減農業や外国産頼りになりかねない。スーパーの有機野菜コーナーの拡大、飲食チェーンのメニュー拡大で大口需要が出来れば生産も増える。販路拡大に向けて産学官で最大限の努力をすべき」と話す。
「朝日新聞朝刊」(2016年2月14日)
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